化学物質過敏症の概要
化学物質過敏症とは、一度に大量の化学物質に触れたり、少しの量であっても長期間触れてしまったりすることで起こる症状です。
化学物質過敏症の具体的な症状としては、頭痛や吐き気、だるさ、皮膚のかゆみや赤み、動悸、呼吸困難などがあります。さらに、思考力が落ちるとか、異常な発汗といった症状が出ることもあります。自宅や職場などで長時間化学物質に触れることで、不眠症になったり、うつ病につながったりすることもあります。
症状は非常に多様で、人によっても違うので、診断するのは簡単ではありません。
対策としては、第一に原因となっている物質を避けることです。また、密閉された空間でこうした症状が出ることが多いのであれば、換気をこまめにすることも大事です。免疫力が低下すると症状が強くなる傾向にあるので、食事や睡眠、運動などでバランスの取れた日常生活を送ることも重要な対策です。
化学物質過敏症の原因は?
症状を引き起こす物質は、人によってさまざまです。接着剤や住宅建材などの住宅そのものに使われている物質の他、防虫剤や農薬といった薬剤があります。
また、排気ガスやタバコなどの周りから来るもの、香水や洗剤などといった身の回りで触れるものさえ、症状を引き起こすことがあります。
どうして化学物質が症状を引き起こすのかについて、はっきりとしたメカニズムは分かっていませんが、化学物質がなんらかの理由で自律神経や免疫系に作用して、体内調整のバランスを崩すと考えられています。また、ホルモンを出す内分泌系の異常を引き起こす可能性も考えられています。
アレルギーとの違いとは?
何かに触れることによって不快な症状を引き起こすという点では、アレルギーと同じです。どちらも、ある程度以上の量の物質に触れることによって症状が始まりますし、その後は同じ物質に触れると、極めて少ない量でも発症してしまう点でも似ています。
しかし、アレルギーは免疫反応によって、症状が出ることが分かっています。一方の化学物質過敏症は、上記のように、自律神経系の異常が主な原因と考えられています。
さらに、アレルギーはある程度、症状の内容が限定されますが、化学物質過敏症は非常に症状の幅が広いという違いもあります。他にも、化学物質過敏症は自律神経系に関係することもあって、精神的なストレスが強くなると、発症の度合いが高まる傾向が見られるのもポイントです。