特定建築物定期調査とは

1:特定建築物定期調査とは?

特定建築物定期調査とは、公共性が高く多くの人が利用する施設である「特定建築物」もしくは「特殊建築物」と指定されている建物について、定期的に調査と報告をするための制度のことです。特定建築物となるのは地域によって分類が異なりますが、映画館やホテル、百貨店、学校、図書館、地下街といった多くの人が高い頻度で利用する建物です。こうした建物は、安全を確保しないと大きな事故につながりかねませんし、災害時の避難場所として利用されることもあるのでより安全な状態にすべきです。

そこで、法律に基づいたルールに適っているかをチェックして、報告することになっているのです。この制度は、建築基準法第12条に基づいていて、3年ごとの調査報告をすることが多いです。ただし、自治体によっては初回の調査が免除される建物があったり、頻度が異なるケースもあり、中には毎年の報告が求められる建物を指定している自治体も見られます。

2:特定建築物定期調査で調査する内容

特定建築物定期調査では、まず地盤や敷地全体の調査を行います。たとえば、陥没がいずれかの場所で生じていないか、排水が十分になされているかなどの項目です。さらに、建物の周りに塀や擁壁が設置されているようであれば、ひび割れなどの問題が生じていないかもチェックします。

建築物の外側も調査対象となっています。基礎部分や外壁などに、はがれ落ちている箇所やひび割れなどがないかを目視チェックをすると共に、必要があればハンマーテストも実施します。外側に看板や照明、空調設備などが設置されていて、その固定状態なども見ることになります。

屋上や屋根についても、損傷がないか水漏れがないか、排水が適切になされているかを調査します。基本的には目視でのチェックですが、テストハンマーなどをすることもあります。

そして、建築物の内部も調査します。主に建築基準法に従った状態となっているかを見るためのもので、壁や天井などの状態が安全か、防火区画が明確になっているか、耐火性能が確保されているかなどを確認します。特定建築物定期調査の中でも、特に防火設備については細かく調査項目が設定されていて重要度の高い部分となっています。

いざという時のための備えとして、避難設備についての調査も実施します。火災発生時の避難経路、非常階段、排煙設備、法律で求められている場合はスプリンクラーなどの設備について目視と図面でチェックするわけです。建築基準法に合った仕方で設備が設けられていて、その通り稼働しているかを報告しなければなりません。

3:調査を行い安全を確保する

特定建築物定期調査は、公共性の高い施設として認定されるものについては、定期的に実施しなければならない調査です。利用者の安全を守るために欠かせないもので、お客様や市民の命に直結する重要な調査であるという認識を持つことが欠かせません。法律に従って正しい方法で調査を実施していきましょう。