空調設備の法定点検

1:空調設備の法定点検とは?

空調設備の法定点検とは、フロンガスを用いるエアコンやその他の空調設備についての点検を行う制度です。これは2015年にフロン排出抑制法が施行されたことに基づいて、既存の空調設備から劣化や損傷などによってフロンが漏れることがないようにするためのものです。フロンガスはオゾン増の破壊によって紫外線の増加や、温室効果の促進などの問題を引き起こしますので、環境破壊を食い止めるために重要な点検制度となります。

フロンガスを使用する機種だとしても、家庭用のルームエアコンなどは対象外となっていて、業務用エアコンのみに点検義務が課せられています。この空調設備の法定点検を実行しないなど、法令違反が認められると、監督省庁からの勧告や改善命令などを経ずに、ダイレクトに行政罰が課せられる可能性があるので注意が必要です。

法定点検の実施義務を負うのは、該当する設備を所有したり管理したりしている人です。ビルのオーナーや管理会社がそれに当たります。該当する空調設備はさまざまな施設に存在します。テナントビルや病院、商業施設、ホテルなどです。こうした設備の管理者が誰かということを明確にして、確実に点検を行える体制を整えなければなりません。空調設備の法定点検では、簡易点検と定期点検という2種類の点検がありますので、どのような調査をするかを覚えておきましょう。

2:簡易点検について

簡易点検は業務用のすべての空調設備が対象となり、冷凍機も含まれます。点検を実行するのは特に有資格者でなくても構わないことになっていて、管理者自らが実施することができます。点検頻度は最低でも3カ月に1回となっています。点検項目としては、異常な音や振動がないか、損傷個所が目視で見られないか、腐食や錆がないかといった点です。また、外観から油にじみが起きていないか、吹き出し音が正常か、風の温度が設定通りか、熱交換器における霜付きなどが見られるかといった点もチェックします。

3:定期点検について

定期点検は、大型の業務用冷凍空調機が対象となります。具体的には、コンプレッサーの定格出力が7.5kWh以上のものです。点検の実施者は空調設備やフロン充填に関する専門知識を持つ者や、冷媒フロン類取扱技術者の認定をしていて、第一種フロン類充填回収業者登録済みの有資格者となっています。通常は外部業者に委託することになりますので、管理者が業者を選定して依頼しないといけません。

点検頻度は機器の種類や大きさによって異なります。冷凍冷蔵機器については、毎年の点検が必要です。空調機器でも圧縮機定格出力が50kW以上のものは1年に1度となります。ただし、空調機器で50kW未満の者については、3年に1度の頻度で実施できます。

4:確実な空調設備の法定点検を

空調設備の法定点検は、フロンガスの漏れが生じないように行う重要な法定点検です。簡易点検と定期点検の2種類があり、頻度も高いものですので、確実に点検を実行できるように注意して予定を組んでおきましょう。