店舗照明の基準として考えるべきポイントは?
店舗照明を決めるにあたって、まずはどんなお店の雰囲気にしたいのかが基準となります。また、お店の形態によっても求められるものが違い、それにより明るさや色温度などの重視すべき点を決めます。
たとえば、ファストフードのようにある程度回転率を高める必要があるならば、明るさが重視すべき基準となりますし、客単価を上げて高級感を出したいのであれば、落ち着いた雰囲気の店舗照明のほうが良いでしょう。
こうした照明による雰囲気の違いは照明による全体の明るさによって変わり、「ルーメン」という基準で比較することができます。また、同じ明るさを出すにしても、白熱電球よりもLEDのほうが効率が良いため、電気代を抑えられるといった要素も関係してきます。
次の基準は「照度」で、照明によって照らされている部分をどのくらい明るくできるかを表します。「ルクス」という単位で測ることができ、JISで明確に基準が定められています。廊下などの人通りがあるところ、調理場のように作業する場所などは一定のルクス値が定められていますので、それを守った上で雰囲気作りをしていく必要があります。
「輝度」という基準は、照明が部屋全体をどのくらい明るくするかを示すものです。店内の明るさを考えるには、この輝度を見ると分かりやすいです。輝度が高いほど明るく、奥のほうまでよく見え、低いと落ち着いた雰囲気で、プライバシーを重視した環境となります。
色温度と印象の関係
照明でもう一つの大事なポイントは、色温度です。「ケルビン」という単位で示され、ケルビン値が高いほど、白もしくは青に近い色の照明となります。色温度が低いと赤っぽい色合いとなります。電球は、色温度の差によって、ケルビン値が高いものから「昼光色」「昼白色」「電球色」「キャンドル色」と分けて販売されていることが多いです。
一般的に、色温度が高いほど、明るくはっきりとした印象です。こうした照明では元気で楽しい雰囲気が強調されますので、ファミレスなど、家族で一緒に楽しく過ごすタイプの飲食店に向いています。逆に、色温度が低いと、落ち着いた穏やかな雰囲気となります。そのため、バーや居酒屋、高級レストランなどで採用されることの多いタイプの照明です。
料理が美味しく見える色温度のポイント
料理が美味しく見えるという観点で色温度を考えると、ケルビン値が低いほうが魅力的に見えるとされています。温かみがあって、素材の自然さが浮かび上がってくるからです。また、食器にも余計な反射などがなく、ほどよい陰影が付き、色合いが穏やかに見えるので、料理を引き立たせてくれます。さらに、色温度が低いほうが高級感が出てくるという点でも、視覚的に美味しく見せる効果があります。
ここでの注意点は、調理場とお客様が座るテーブルとの色温度が違うことです。調理場は作業がしやすいように、色温度の高い照明を使いますし、明るさも強くします。一方で、テーブルでは雰囲気作りのために、色温度を下げます。この違いを意識して、テーブルに提供した時に美しく見える調理法や盛り付けを工夫しましょう。